「関東アシュラム」の紹介

関東アシュラム書記 横浜岡村教会牧師 安藤 脩 

 関東アシュラムは2012年に、大きな節目の第50回記念アシュラムを開催しました。このアシュラムの準備委員会において、何か記念となる特別な企画をと願いました。最初に提案されたのが、関東アシュラム50周年記念誌の発行と、関東アシュラムの歩みを映像で見られるように、DVDを作ろうということでした。しかし、話を進めるうちに、記念誌発行は関東という一地域の活動ではなく、アシュラム運動全体の中で、歴史として残してゆくべきものであろうと考えられました。日本アシュラム連盟も近じか60周年となるということで、この働きは連盟に提案し、委ねて行こうということになりました。(関東アシュラム委員会では記念誌発行に代えて、関東アシュラム50年の歩みをDVDと共に、パネルを作成し展示しました。)この提案が、このようにして日本アシュラム連盟で採択され、日本アシュラム連盟60周年記念誌として発行の運びとなったことを、真に嬉しく存じます。

 【関東アシュラムの歩み】

 関東アシュラムのスタートは日本のアシュラム運動の歩みと一致していると言っても過言ではないでしょう。関東アシュラムの始まる以前のアシュラムも、すべて関東地区内で行われておりましたし、地区アシュラム委員会が発足する前から、関東アシュラムとしてスタートしました。しかし関東地区アシュラムと合流したりで、区別しがたいところもあります。それで、関東アシュラム委員会では関東アシュラムの歩みを確認し、DVDを作成するため小委員会を別に作り作業を進めました。その作業の過程で、連盟アシュラムや国際アシュラムと合流したこと等も明らかになりました。

   2012年関東アシュラム50周年での助言者は、関東アシュラムの委員長であるだけでなく、現在、日本アシュラム連盟の理事長でもある横山義孝師としました。この時の横山師の講演要旨を以下に記します。

【関東アシュラム50年の記念の年を迎えて】

 1951年、日本が第2次世界大戦に敗北して、精神的荒廃に喘ぎ、国全体が苦悩していた時、インド伝道の聖者・世紀のエバンジェリスト E.スタンレー・ジョーンズ師が来日して、日本縦断伝道を展開。日本の超教派キリスト教会を聖霊によって積極的な伝道へと鼓舞、激励してくれました。以後のスタンレーは2年毎に来日しましたが、1955年からは日本のクリスチャンに、祈りによる信仰の霊的深化が必要であると、アシュラム運動を開始したのです。

 アシュラムとは、インドの精神文化を支えた退修方式ですが、スタンレーはこれをクリスチャン・アシュラムとして取り入れて、祈りの運動として、インドで実施していたものです。これが日本全国の超教派の教会で受け入れられたのでした。’53~’61迄の4回はスタンレー・アシュラムとして、主として、東山壮、天城山荘を会場として開催されましたが、その後は、全国各地で委員会を組織し、日本のクリスチャンによるアシュラムが始まりました。

 関東アシュラムは1962年、飯能・覧山壮に第1回のアシュラムを実施。今年第50回を迎えました。途中1978年10月4日~6日のアシュラムは、東山壮にて第3回国際アシュラムが開催されましたので、これに合流しています。

 関東アシュラム圏内には、各個教会アシュラムやグループアシュラムがあります。

 その他、地区のアシュラムも夫々実施され、連盟組織のもと、国際アシュラムと連携しており、主な開催の様子は、ごらんのごとくです。私たちはこれから先輩有志の祈りの遺産を受け継ぎ、次の50年に向かってアシュラムのバトンを伝達すべく、祈り励みたく存じます。この終末の時代にあたり、各位の上に主キリストの贖いの恵みと、聖霊の注ぎとを祈りあげます。栄光主にあれ、ハレルヤ!

 

関東アシュラムと関わりのあるグループアシュラム・教会アシュラム

の初回記録は以下の如くです

第1回 城北アシュラム

 1973年1月16日(東京・池の上教会)

この年より毎年開催。会場教会となっているのは池の上教会、江古田教会、中野バプテスト教会、新宿西教会、天門教会、更生教会(最大18教会から参加)

(2014年をもって第45回を数えている。)

第1回 城西アシュラム

 1976年9月23日

(東小金井カンバーランド教会)会場教会となっているのは大宮前教会、高円寺教会、日本神の国北野キリスト教会

(1994年10月10日第18回の高円寺教会をもって終了。最大22教会から参加)

第1回 城南アシュラム(碑文谷教会)

 1977年11月23日

 (1987年2月22日第5回をもって終了)

東京教職ミニ・アシュラム(更生教会)

 1984年1月9日 会場教会となっているのは更生教会、稲城教会、大宮前教会、南六郷教会三輪伝道所、安行教会、小石川白山教会、成瀬伝道所、天門教会、高円寺教会、深谷教会、碑文谷教会

(1990年9月23日、第27回をもって終了)

第1回 バルナバ・アシュラム

 1988年5月3日~5日

 場所・奥多摩・古里福音の家

    その後、日野ラ・サール研修所

 (1998年5月3日を最後に、発起人であった石神勇兄の召天により第11回をもって終了。最大時全国より82名が参加)

教会アシュラムは

代官山教会、原町田教会、江古田教会、深谷教会、九段教会、潮来バプテスト教会、稲城教会、千葉本町教会、本庄福音教会、聖教団練馬教会、逗子教会婦人会、安行教会、碑文谷教会、八丈島アシュラム、信州アシュラム、沼津シオン・キリスト教会1日静聴会年3回

第1回西川口教会アシュラム

1971年2月

2014で第38回を迎えた。

第1回横浜岡村教会アシュラム

 1982年6月26日~27日

 (2014年をもって第33回)

第1回池の上キリスト教会アシュラム

 1998年5月10日

 

第1回浦和別所教会アシュラム

 1987年  

 (2014年をもって第27回)

第1回 東京新生教会アシュラム

 1994年   

 (2014年をもって第21回)

石神井アシュラム黙想セミナー(7教会)

 1984年4月30日

その他クリスチャン・アシュラム・セミナーがある。

《関東アシュラムの現状》

 先ず、関東地区アシュラム規約を見てみよう。

(名 称)

1.この会を関東地区アシュラムと称する。

(事務所)

2.この会の事務所を東京都三鷹市井口3-15-16 日本ホーリネス教団池

  の上キリスト教会内に置く。

(目 的)

3.この会はスタンレー・ジョーンズ博士の提唱された精神による、キリストへの絶対服従、静聴、明け渡しによる聖霊の交わりを内容とするアシュラム運動を推進して、教会に奉仕することを目的とする。

(事 業)

4.この会は次のことを行う。

 (1)年1回地区アシュラムを開催する。

 (2)地区内各個のアシュラムを開催する。

 (3)日本アシュラム連盟に所属して、他地区との連携をはかる。

 (4)その他、この会の目的を達成するに必要なる事業を行う。

(会 員)

5.(1)この会の目的に賛同して原簿に登録した者を会員とする。

  (2)会員は定められた会費を納入してこの会を維持する責任を持つ。(委 員)

6.(1)この会に、委員長、書記、会計各1名、委員若干名を置く。

  (2)委員の任期は2年とし、再任を妨げない。

  (3)委員会は次の事項を処理し、次期地区アシュラムにおいてこれを会員に報告する。(以下省略)

(経 費)

7.(1)この会の経費は、会費および献金をもってこれにあてる。

  会費は年額1,000円とする。(以下省略)

上記の規則にのっとり、関東地区アシュラム委員会(委員長・横山義孝師のもと、12名の委員と主事的役割を果たしている常時陪席者)は、年5回の委員会を開催して、関東アシュラムの準備を行っている。

   関東アシュラムは幸いなことに、山崎製パンのご協力により、第34回から会場が山崎製パン箱根山荘に定着した。これにより委員会にとっては、会場探しの負担がなくなった。それだけでなく、委員会にとっても参加者にとっても、経済的な負担が軽くなり、大いに助けられている。現在、関東アシュラムの参加者は40名前後である。だが、参加者が高齢化しているため、継続の危機を覚え始めている。そのため、委員会では多くの時間を割いて、アシュラム運動継続、発展のために検討協議している。そこで出されたことは、ある程度費用を度外視し、打開策が必要であるとの方向性が出された。アシュラム運動の後継者を育てるために、

①教職者の新参加者、神学生は招待とする。

②若者にもアピールするよう案内パンフレットを刷新する。

③全てのプログラムについては、聖霊の導きを中心としつつ、福音の時は

   アシュラムとは関係なくとも、霊的人材を特別講師(助言者)として用  

 いても良い等の案が出され漸次実行に移している。

関東アシュラム年表

   1     1962.11.22~23  飯能覧山荘  第1回関東アシュラム        毎年実施することになる     

                                       第5回アシュラム 62年3月

     2   1963                                                                            

     3   1964.5.4~7         清里清泉寮          第8回全国縦断伝道1964.3~5         S.ジョーンズ師その他関

            東地区委員一同奉仕   第6回アシュラム開催    260        「訪伝」106号より抽出 

          第6回東日本アシュム

     4   1965                    7回アシュラム退修会?

     5    1966

     6 1967.3.13~16     伊豆天城山荘      第9回全国縦断伝道1967.2~4           S.ジョーンズ師その他関

           全国7箇所で第8回アシュラム開催及び第9回               160          

          関東一日アシュラム      東地区委員一同奉仕

     7   1968.7.20~21   奥多摩鳩ノ巣荘   福井二郎師その他関東地区委員一同奉仕     

     8   1969.4.28~29     飯能覧山荘 無くてならぬものは多くない   榎本保郎師その他関東地区

           委員一同奉仕                      

     9   1970.11.23~24  奥多摩鳩ノ巣荘  しもべは聞きます。主よ、お話し下さい。      榎本保郎師

            その他関東地区委員一同奉仕                     

   10     1971.10.19~21伊豆天城山荘 S.ジョーンズ師その他関東地区委員一同奉仕

   11     1972.10.9~10     奥多摩古里、福音の家      見よ、わたしは戸の外に立って叩いている      関東地区委  

       員一同奉仕             80          第1回世界アシュラム(エルサレム)6月

   12     1973.10.9~11     奥多摩古里、福音の家      イザヤ書57・15 ハンター師その他関東地区委員一同

       奉仕          90          【スタンレー 1973.1.3昇天】

   13     1974.10.8~10     奥多摩古里、福音の家      み言がうち開けると光を放って無学の者に知恵を与え

                    る(詩編119.130)    横山義孝師その他関東地区委員一同奉仕          71         

   14     1975.10.9~11     奥多摩古里、福音の家      聖霊における喜び(ロマ14・17)    関東地区委員一同奉仕     

   15     1976.9.14~16     奥多摩古里、福音の家      聖霊による改変(ガラテヤ5・16~26)聖霊による働

          (ルカ11・9~13)  大久保進師その他関東地区委員一同奉仕      71         

   16     1977.10.9~11     地塩園(熱海駅前第1ビル)  主イエスとの出会い       海老沢宣道師その他

                         関東地区委員一同奉仕      80         

   16     1978.10.4~6       東山荘                 今日における神の言葉      第3回国際アシュラム同時開会その他関東地

           区委員一同奉仕     250        10月4日~6日第3回国際アシュラム

   17     1979.10.9~11     奥多摩古里、福音の家      キリストへの全き明け渡し(マタイ16・24)関東地区委

            員一同奉仕         95         

   18     1980.11.24~26東山荘     神の国とその義を求めよ 日本アシュラム25周年記念同時開

            催その他関東地区委員一同奉仕    タイタス    95         

   19     1981.10.8~10     湯河原厚生年金会館 全うされる愛            岡田 實師その他関東地区委員一同奉仕 81

   20     1982.9.22~24     東山荘   震われない御国、変わらない人格  ジム・マシューズ師             74          第

                     5回国際アシュラム (フィンランド)

    21   1983.9.22~24     奥多摩古里、福音の家      わたしの愛のうちにいなさい 辻中 昭一師  70         

   22     1984.10.8~10     奥多摩古里、福音の家      神の国の体験(ルカ17・21)             岡田實師              70         

   23     1985.9.23~25     奥多摩古里、福音の家      主に在る交わりの喜び           ジム・マシューズ師          75          日

            本アシュラム30周年記念/第6回国際アシュラムセント・サイモンズ(1月22日)

   24     1986.9.22~24     奥多摩古里、福音の家 日々新たにされる喜び(Ⅱコリント5・17)         酒井春雄師 70 

   25     1987.9.14~16     奥多摩古里、福音の家      イエスは主である              神山良雄師          78         

   26     1988.9.14~16     奥多摩古里、福音の家      土山牧恙師          50             

   27     1989.9.13~15     奥多摩古里、福音の家      向山自助師 説教題:強く迫るキリストの愛、キリストにある

            新しい人

   28     1990.9.23~25     箱根アカデミーハウス      全日本クリスチャン・アシュラム   35周年記念                         

                                           D・P・タイタス        ?              第8回国際アシュラム(カ)ハリファックス

   29     1991.10.23~25箱根アカデミーハウス        わたしたちは神の作品であって・・・(エペソ2.10)    中島 彰師

   30     1992.9.21~23     箱根アカデミーハウス    聖霊によらなければ、だれでも「イエスは主である」と言

           うことができない>  (Ⅰコリント12・3) 河合光治師              40         

   31     1993.9.14~16     奥多摩古里、福音の家      イエスは主である              島 隆三師          52         

   32     1994.9.13~15     奥多摩古里、福音の家      イエスは主である              金徳成   55         

   33     1995.9.13~15     天城山荘1号館   日本アシュラム開始40周年記念       マシューズ師                     合同

   34     1996.9.23~25     山崎製パン箱根山荘          金元治師              38             

   35     1997.9.22~24     山崎製パン箱根山荘    キリストのためにどんなことでもする             斉藤剛毅師          36         

   36     1998.9.22~24     山崎製パン箱根山荘    心の底から新たにされて       横山義孝師          36         

   37     1999.9.22~24     山崎製パン箱根山荘  何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これら

                                          のものはみな加えて与えられる。              原田 謙師                       

   38     2000.9.13~15     山崎製パン箱根山荘 イエスは主である大石嗣郎師           《海老沢宣道師2000.6.14昇天》

   39     2001.9.24~26     山崎製パン箱根山荘  心を尽くして主に信頼せよ(箴言3・5   新原 辿師          50         

   40     2002.9.23~25     山崎製パン箱根山荘  イエスは主である     古河 治師              32         

   41     2003.9.22~24     山崎製パン箱根山荘  祈る時には御名が崇められますように   島 隆三師          46         

   42     2004.9.20~22     山崎製パン箱根山荘 御霊によって歩きなさい(ガラテヤ5・16)後宮俊夫師        49         

   43     2005.9.19~21     山崎製パン箱根山荘 日本アシュラム50周年記念       小島十二師 43   

   44     2006・9.18~20山崎製パン箱根山荘   からし種一粒の信仰 有馬歳弘師              46         

   45     2007.9.17~19     山崎製パン箱根山荘 キリスト・イエスの心(フィリピ2・5)     島 隆三師          40         

   46     2008.9.15~17     山崎製パン箱根山荘 聖霊の働きがなければ(Ⅰコリント12・3)佐野勇松師・木部安来師

   47     2009.9.14~16     山崎製パン箱根山荘  聖霊が降るとき(使徒1・8)         小島十二師          35         

   48     2010.9.13~15     山崎製パン箱根山荘 神の賜物を燃えたたせよう(Ⅱテモテ1・3~14)本田英一郎師                           49     2011.9.19~21       山崎製パン箱根山荘  神のことばでいきる(Ⅰペテロ2)       岡山敦彦師              37         

   50     2012.9.17~19     山崎製パン箱根山荘 関東アシュラム50周年記念 主に自らをゆだねよ(詩篇37・1~6)                                                     横山義孝師                       

   51     2013.9.16~18山崎製パン箱根山荘 島隆三師 「わたしにゆだねられたもの」Ⅱテモテ1:12                       52     20149.15~17山崎製パン箱根山荘有馬歳弘師 「わたしは主である」出エジプト6:2~8                                              53     2015                                                                               

アシュラムの恵みと静聴

池の上キリスト教会  飯島延浩

 私は、ヤマザキパン創業者飯島藤十郎社主夫妻とともに三人揃って、昭和48年7月15日、受洗の恵みに加えていただきました。

それまで、ヤマザキパンは長期にわたる社内紛争の中にあり、社主も私も外部の人を巻き込んだ社内紛争の中で窮地に追い込まれ、その紛争からの脱出の道を求めておりました。社主が温かいお交わりだからと言って、神田YMCAで開催されていた東京国際朝祷会に集うようになり、教会の礼拝に出席するようになり、私も社主夫妻といっしょに教会の礼拝に出席するようになりました。健康の回復を求めていた社主は、癒しの賜物を持っておられる山根可弌牧師が牧会する池の上キリスト教会に通うようになり、私もいっしょに池の上キリスト教会に通うようになりました。

私共のかかえる問題を解決するには、社主夫妻と私三人の心の一致が何よりも一番大切だと示され、人間の力では不可能であっても、神の力をお借りしてでも社主夫妻と私三人の心の一致を得たいと願い、私から社主夫妻に受洗することを提案いたしました。受洗から数えて11日目の朝、ヤマザキパンの最有力工場武蔵野工場が、生産設備を全焼する火災に遭遇いたしました。火災の翌日、社主は社主夫人と私を連れて池の上キリスト教会を訪れ、講壇の前で山根牧師に祈っていただくとともに、社主も祈りました。「この火災は、ヤマザキがあまりにも事業本位に仕事を進めて来たことに関する神の戒めです。これからのヤマザキは、神のみこころにかなう会社に生まれ変わります。」社主夫人も私も社主の祈りに祈りを合わせ、神の力と助けによって、社主夫妻と私三人の心の一致が誕生し、これが目に見えない新しいヤマザキのスタートとなりました。

 山根可弌牧師は、主イエス・キリストとお出会いした体験をお持ちの方で、昭和13年2月23日午前4時23分、主イエス・キリストがご臨在とともに山根可弌牧師の前に現れ「立ちて歩め、再び罪を犯すな」と言われたこと、また「我汝とともに常にあるべし」と言われ、神の霊が山根牧師の心の中に宿られたことを何度も何度も講壇から説教されました。山根牧師は、毎日聖書を開いて静聴することをされておられ、教会員にも毎日静聴することを強く勧められました。

その山根牧師が熱心に取り組んでおられたのがアシュラムです。池の上キリスト教会は城北アシュラムに最初から参加し、池の上キリスト教会の教会員はアシュラムによって育てられて参りました。

 昭和54年3月末、ヤマザキパンの社主の意を体する新経営陣が発足し、私が社長に就任することが決まりました。昭和54年2月11日、池の上キリスト教会で開催された城北アシュラムに、私はどのような心構えでヤマザキパンの社長という職責に取り組めば良いかというニードを持って参加しました。そのアシュラムでの静聴の箇所は、ヤコブの手紙4章でした。私は、池の上キリスト教会の柴崎姉妹が静聴で与えられましたと発表された「苦しみなさい。悲しみなさい。泣きなさい。あなたの笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えなさい。」というみ言葉を聞き、一瞬、それは不可能だと思いました。

武蔵野工場の火災から、7年半余り、試練と困難の中を歩み、ようやく社主の意を体する経営陣が発足し、社主サイドの人々は皆喜びにあふれていました。この笑い出したくなるような喜びを悲しみに変えることなど出来るはずがないと考えました。しかし不可能だと考えたことから、かえって気にかかり、アシュラムの祈り求めの中で考え続けました。そして見い出したことは、勝利を得た社主サイドの人々のことだけを考えているから喜びが喜びのままであって、戦いに負けた人々のことを考える時、全く違う思いになることを知りました。戦いに負けたサイドにいる人々もヤマザキパンの人々です。争いを再燃させないためには、戦いに負けたサイドの人の心を心とする必要があると考えた時、戦いに負けた人々の悲しみ苦しみが私の心の中に飛び込んで来て、私の心の中にあった笑い出したくなるような喜びを追い出し、「これは大変だ。戦いに負けた人々の心の悲しみを私の悲しみとして、不遇な目に合わせてはいけない」と導かれました。

低い謙虚な心で、ヤマザキパンの社長としての仕事を開始した私は、その後も聖書の教えに導かれ、アシュラムの静聴を、会社の中でも継続して今日に至りました。私は、今年で社長就任35年となりますが、アシュラムの静聴と聖書の教えの言葉の導きにより、今日まで無事社長という職責を果して来ることができ、心より感謝いたしております。

関東アシュラムの魅力

牧之原キリスト教会牧師 横山勲

2004年9月第42回関東アシュラムに先輩牧師の藁科夫妻の招待を受け、初めて参加して以来10年、妻とともに毎年箱根山荘に登り、アシュラムの恵みに浴させてまいりました。

毎年霊的渇きを抱いて山に登り、降りるときには聖霊の満たしを受け、来年も是非とも再度登って来たい願いをもって帰路に着きます。

この10年間私たちを引き付けてきた関東アシュラムの魅力は何であろうかと思いめぐらすとき、多くのことが数え上げられるのでありますが、その中で、ひときわ心が引き付けられるものは、聖霊の如実な働きと、それを具体化すべく祈りの力にあると感じられます。

「しかし、聖霊があなたがたに望まれるとき、あなたがたは力を受けます。」(使徒1:8)聖霊による祈りの力であります。

アシュラムにおける祈りは、祈りつつみことばを静聴し、そこから掲示される聖霊のみ声を集会の中で立証する事に始まり、また、祈りの細胞においては開心の勧めを実行に移し、一人ひとりが腹を割って祈りのニードを訴え、また、受け入れ、真剣に祈り合います。中には深刻な内容で守秘義務を共有することもあります。この祈りの細胞は翌年のアシュラムまで、一年間共に祈り、そして祈りの結果を確認することができます。主がどのように祈りに応えてくださったかを聞くことができるのも大きな恵みであり、励ましになります。

この10年間、多くのことを祈って頂きました。教会のこと、個人的な問題の数々です。不思議にも祈って頂いたことの大半は聞かれている事です。分けても求道者の救いについては、祈っていただいた方はほとんどが救われ、バプテスマを受けました。まことにヤコブの言う「義人の祈りは働くと、大きな力があります。」(ヤコブ5:16)お蔭で10年前には小さな家庭集会であった私たちの群れが、昨年には教会として歩めるまでに成長させていただきました。実に私たちの教会は祈りの細胞から生まれたと言っても過言ではありません。

アシュラムでの祈りの醍醐味は徹夜の連鎖祈祷であります。これはゲッセマネにおける主と共に祈った弟子たちの経験を彷彿させてくれるものであります。夜10時から翌朝6時30分まで、一人1時間の担当で祈りに着きますが、深夜の1時2時ともなれば睡魔との戦いで、お祈りがお居眠りになりそうです。そんなとき主は「誘惑に陥らないように、目を覚まして祈りなさい。心は燃えていても肉体は弱いのです。」(マタイ26:41)と励ましてくださいます。また先輩たちの書き残してくれた祈りのノートに目を通すとき、そこに信仰の戦いと祈りの勝利を発見し、勇気付けられます。眠い目をこすりながら徹夜祈祷に挑戦し、アシュラムに参加した足跡を祈りのノートに書き残すのも魅力の一つであります。

一日静聴会の恵み   

沼津シオン・キリスト教会員  堀内 稔

「関東アシュラムの恵みを教会にも」との願いを持って、「第11回一日静聴会」を2014年2月23日午後1時から3時、10名の出席者のもと、沼津シオン・キリスト教会(荻野倍弘牧師)で開きました。

オリエンテーションは、スタンレー・ジョーンズ博士の「アシュラムとは何か」を学ぶために、日本アシュラム50周年記念誌「神の漁り人」を配布して、皆様に話しました。『「障害を取り除きましょう。人類と階級の障壁です。み国は人種の差を超え、階級の差のない社会です。」ですから、私たちのクリスチャン・アシュラムでは、すべての階級、すべての人種を一つにして、差のない集まりをつくります。クリスチャン・アシュラムでは、キリストが死なれ、罪を贖われた人そのものに目をとめます。次に、私たちは、肩書のある人とない人の間の障壁を取り除きましょう。肩書のある人が上の階級で、ない人は下の階級とみられていますが、肩書はアシュラムの入り口に置き去りましょう。ビショップも医者も教授も裁判官もなくなり、ただ単にシスター・メリー、ブラザー・スタンレーとなります。このことは、心理学的に人間関係を平等にします。

それから教派の相違という障壁があります。どういう教派、どういう教団からきたのか話をしていただきたいのです。霊的生活の源について話してくださったら、それについては感謝いたしますが、それは、キリストの足元に置き去り、アシュラムの仲間となりましょう。年齢が若い人と年配者、年齢の障壁を取り除きましょう。同じ集会に若い人と年配の人がおりますので、お互いに自分の持っているものをお分かちしあいます。

最も重大な障壁は私たちの内側にあります。恐怖、反感、罪意識、劣等感、これらの障壁が神と私たちの間、私たちお互いの間にあるのです。これらの障壁を取り除きましょう。

「どうして、ここに来たのですか」「何をしていただきたいのですか」「本当に必要としていることは何ですか」「どうぞ、あなたのニードを話してください」

このようにして、世界中から集まった人々が、彼らのニードを語り始めます。何時間もかけてニードを互いに語り合うことから私たちのアシュラムを開始します。何時間もかけ互いにニードを語り合うことで、何週間も何か月も何年も一緒にいるより、ずっとお互いを知りあうことができるようになります。そして、自分たちをあるがままに見るとき、私たちの問題は解決への道半ばに至るのです。あなた自身のことを話し、また、神の光の中で、あるがままのあなた自身を明らかにすることは大きな安らぎを与えます。これは私たちが大きな霊的変化と罪からの解放を得るための準備が整ったことを意味します。』こう説明した後、新聖歌341番「恐れなく近寄れ」を賛美し、Ⅱテモテ3章5節を読み祈祷。聖書の箇所はⅡテモテ3章1節から4章8節を20分間、静聴の時を持ちました。さらに新聖歌272「救い主の愛と」新聖歌40「ガリラヤの風かおる丘で」を賛美した後、「イエスは主である」「イエスは甦られた」のアシュラムの挨拶を3回繰り返した後、私の祈りの課題である、祈ってもらいたいこと、私の願い(ニード)を一人一人発表しました。祈りの課題は、家族の問題や進路、神学、きよめのことなどが語られました。質問には、助言者の荻野先生の適切な説明があり、全体の祈りでは、一斉に執り成しの祈りをささげ、自分の願いを加えて、信仰と感謝をもって祈りました。新聖歌382「心から願うのは」を賛美し、黙祷をささげました。

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役員の渡邉慎一兄は、「私は第一回から参加していますが、多くの人は人が集まって何かをする、ということに『苦手だなあ』という感情を持っていますが、私もその一人です。しかし、30年以上も前に信仰を持ってキリスト者として歩み始めましたが、聖日礼拝に出席し、神様からの恵みをいただいて、それぞれの生活に帰るという信仰生活も確かに意味のあることだと思いますが、共に礼拝に集う方々との交わりの時間というものが、ほとんどないということにも不安を覚えておりました。そんな時、「一日静聴会」を開くことを提案され、私も参加する事にしました。共に聖書を読み、その恵みを分かち合い、お互いの必要を語り合う、そのような交わりの時を持つことの大切さを回を重ねるごとに感じております。 

それぞれが信仰生活を全うすることを願っていますが、お互いを励まし合い、祈り合うことのできるこの集まりを感謝しています。」

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私は1964年ごろ22歳の時、山梨県清里で行われた「アシュラム聖会」に参加しました。日本基督教団更生教会の安倍豊造先生の紹介でした。アメリカからインド宣教に派遣されたメソジスト派の宣教師スタンレー・ジョーンズ博士と通訳者安村三郎博士の助言のもと、静粛の中での「開心の時」でした。祈りとみ言葉によって、神と直接に交わりを持つアシュラムの恵みに心打たれました。会衆からのニードを丁寧にノートに書き込んでいた博士の姿が記憶に残って追います。み言葉は「信仰の試練は、火を通して精錬されてもなお朽ちていく金よりも尊いのであって、イエス・キリストの現れの時に称賛と光栄と栄誉になることがわかります。あなたがたはイエス・キリストを見たことはないけれども愛しており、いま見てはいないけれども信じており、ことばに尽くすことができない、栄えに満ちた喜びにおどっています。これは信仰の結果である、たましいの救いを得ているからです。」(Ⅰペテロ1章7~9節)聖書のことばとして信じる信仰を与えられ、あの時の感動は今でも鮮やかに甦えり、ますます恵みに溢れています。信仰によって与えられた平安と喜びです。関東アシュラムの参加は、90歳ごろまで役員をしていた父の信仰の継承でもありました。多くの先生や兄姉から信仰を励まされました。

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 「一日静聴会」は、沼津シオン・キリスト教会が2009年5月17日創立50周年を迎えました時、信徒による奉仕活動の願いから誕生しました。年3回(2、6、10月)に実施しています。順調に進んできた「一日静聴会」も危機を迎える時もありました。私は2011年10月27日、体調を崩し、1か月の入院を余儀なくされ、今も続いています。それ以前から日頃親しんできたインターネット礼拝「挑戦と応戦」読んだ時でした。「多くの人は、神の挑戦に対し、拒むのですが、そこからは何も生まれません。神の挑戦に対して応答しなければ、神の業は生まれません。」というようなメッセージでした。病院のベットに正座し、「一日静聴会」の継続を願って祈りました。信仰によって立ち上がったのです。病を通し、天国に対する希望が強くなり、黙示録21章が親しく感じるようになりました。中学校の教員として仕事を終え、古希を迎えて一年が過ぎました。何よりも礼拝を大切にしたいです。

(堀内稔兄は、この原稿をお書きくださった後、2014年3月29日、主のもとにご召天されました。数年前より癌との闘病なかでも、主と教会を愛して真実に礼拝を守り、役員をはじめ様々な奉仕を忠実になされました。とくに青年の頃よりアシュラムで養われてきた祈りと御言葉を通して主に聴従する歩みを沼津シオンで培うことにも心を砕かれ、一日静聴会の担当を担われてきたことです。)